003 日本の「人質司法」は坐骨神経痛か?

坐骨神経痛と向き合って4年。分かったのは自分の姿勢の悪さ。若い頃は、ちょっと猫背気味で上目遣い、斜めに世の中を見上げる姿勢がカッコ良いと思ってましたが、長く続けると大変辛い思いをすることが分かりました。ガニ股でO脚になるし、反り腰は横から見ると下心丸出し揉み手おじさんのようでカッコ悪いです。坐骨神経痛が発症すると鋭い痛みや鈍い痛みに悩まされます。


さて、これを思い起こさせたのは下の記事です。


英裁判所が強盗犯の日本引き渡しを拒否、海外から白眼視される日本の人質司法 カルロス・ゴーンも高笑い、政府が改めようとしないこの国の司法制度の問題点 

JBpress (ジェイビープレス) 8/25(黒木亮・作家)


相手は日本で強盗事件を起こして海外逃亡した悪党ですが、英国の裁判所は「日本の司法手続きは人権侵害のおそれがあるとして、引き渡しを認めなかった」というのです。どんな人権侵害かというと「日本では「人質司法」によって長期間勾留され、自白を強要されるおそれがある」ということです。


この記事の著者である黒木氏によれば、英国の裁判所は犯罪人引渡条約を結んでいようといなかろうと(日本とは結んでない)、「十分な証拠があり、公正な司法手続きを受けられると期待できる場合は、引き渡しに応じるというスタンス」だそうです。日本はダメと思われたんですね。


なんとも息苦しい話で、このクソ暑い夏に相応しくない話題ですが、もう少し読むと背筋が寒くなります。この人質司法が多数の冤罪事件を生んでいるという話です。これは簡単に要約できないので、是非この黒木氏の記事をお読みください。


この記事をきっかけにネットで以下のページに目を通しました。結構ひんやりします。

「人質司法」の解消を求める意見書 (日弁連)

専門用語満載で読みにくいです。印象に残ったのは勾留日数など統計情報を検察も裁判所も公表していないという指摘と、GPS発信装置等を装着して動静を把握する電子監視制度や発信装置等を装着した上で外出を禁止する在宅拘禁制度を、日本は導入していないという点でした。

警察・検察・裁判所は、それぞれ別の立場からお互いをチェック&バランスさせようという仕組みな訳ですが、揃って統計情報を開示しないのはそれが機能してない証拠のような気がします。

また、検察や裁判所が勾留や勾留延長を決める際に「証拠隠滅の恐れ・逃亡の恐れ」を挙げるそうですが、科学でそれを乗り越えようとはしないんですね。トリチウム問題で科学否定の某国のようです。

痴漢冤罪・誤認勾留・誤認逮捕相談サポート (アスクプロ株式会社)

逮捕から勾留期間終了までは23日とされているのに、実際には長期間拘束される人が多いのは何度も別件逮捕されるため、とのことでした。実態は、「実際にやっていなくても細かい犯罪の容疑はいくらでも作ることが可能で、逮捕→23日間勾留→別件逮捕→23日間勾留→別件逮捕→23日間勾留→…という永久勾留が成立してしまいます」とのことです。残念な現実ですね。

日本の「人質司法」 保釈の否定、自白の強要、不十分な弁護士アクセス(Human Rights Watch) 

Human Rights Watchのホームページも見てみました。いつもはちょっと斜に構えて見るのですが、この問題についてはスッと入ってきました。(冒頭の「郷原弁護士」と「ジャパンタイムス」の文字以外は。)

それどころか、一番良くまとまっていたし読みやすかったように思います。

がん治療中の容疑者・被告を拘留し続け死期を早めたという批判は、黒木氏の記事にも似たケース(鈴木宗男氏関連)を読んでいたので驚きませんでした。しかし、どんな事情があるにしてもちょっと国民の命を軽視しすぎではないかと。政府・司法の目的は何?

もしかして、海外には「冤罪」という単語はないの? 「日本語には、誤った嫌疑や訴追によって司法制度の犠牲者となることを指す「冤罪」という言葉があるほどだ」なんて書いてありますよ。ショック。

コンビニで1万円盗んだ容疑で10ヶ月勾留されるって、どんだけ別件を捏造したんでしょ。そこを書いて欲しかった。

我が国の刑事司法について,国内外からの様々なご指摘やご疑問にお答えします。(法務省) 

全部壁打ち、批判を打ち返しています。しかし、事実を事実と認めず微妙に論点をずらしたり、都合の良い事実だけを特出しするところは、どこかの外国政府を思わせる感じで、ひんやりです。

日本の司法制度(警察・検察・裁判所)は、根本的な姿勢が悪そうですね。全体として平和な社会作りに大きく貢献していると思いますが、どうも戦前・戦中の感覚がいまだに残ってる感じがしてなりません。要するに国民主権ではなく、まず国家ありきで、国民は国家へ奉仕せよ、みたいな感覚です。日弁連の意見書にも日本国憲法が発布されて制度が変わっても運用が古いままだと批判されています。姿勢が悪いままのようです。


司法が国民に奉仕してください。早く姿勢を直さないと腰痛を拗らせて坐骨神経痛を発症した私の二の舞になります、日本社会が。坐骨神経痛になっても死ぬわけではありませんが、活力は失われます。日本社会はもう成熟し、十分機は熟したと思います。


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